高い技術とオリジナルデザインの融合が生み出す、新たなストーリー

佐賀県でオーダーメイドの結婚指輪・婚約指輪を手がける「サロン・ド・ルシェル」では、職人がすべて手作業でリングを1点1点つくっています。手作りにこだわるのは、大量生産されたリングでは表現できない、お二人の特別な想いを形にしたいから。こちらでは、当アトリエでお二人の結婚指輪がどのようにつくられていくのかを、「手作りのぬくもり」が直に感じられることで人気の「鎚目(つちめ)」や特殊な技法が必要な「木目金(もくめがね)」のリングづくりの流れをご紹介します。

鎚目って何?

貴金属の地金に金鎚を何度も打ちつけてできる凸凹を、「鎚目(土目・つちめ)」と呼びます。「打ちつけるだけ」の単純な工程のようでいて、職人の力加減や工具の種類によってさまざまな風合いが生まれる表現力豊かな技法です。叩けばたたくほど強さを増していくのが金属。鍛えあげられた指輪は、お二人のこれからの人生が並大抵のことでは壊れないように、強く守り続けてくれるでしょう。そして、鎚目独特の凹凸は長く使うことでより一層深い味わいがでて、無機質な金属にぬくもりを与えてくれます。

鎚目リングサンプル
鎚目リングサンプル2

鎚目のリングができるまで

鎚目制作工程1

鎚目制作工程➀

ホワイトゴールドとピンクゴールドの丸みがついた鎚目デザインです。ご試着いただいたシルバーサンプルリングをそのまま忠実にこれからゴールドで本制作してゆきます。

鎚目制作工程2

鎚目制作工程➁

おふたりの指のサイズに厚みと長さをぴったりと合わせたゴールドの板を芯金(しんがね)を呼ばれる工具に添わせるようにして木づちで丸みをつけていきます。

鎚目制作工程3

鎚目制作工程➂

手荒に曲げてしまうとリング全体がゆがんでしまうので両端から少しずつ、少しずつ…

鎚目制作工程4

鎚目制作工程➃

鍛え上げられた1枚のゴールドの板から、指輪らしい丸いかたちへ両端を完全にぴったりと合わせるのがポイントです。

鎚目制作工程5

鎚目制作工程➄

リングの切れ目部分に「ロウ付け」と呼ばれる溶接を施します。
ピンセットでリングに添えられているのが金ロウ。貴金属同士を溶接する際に使う接着剤の役割をします。ロウとゴールドが溶け合い、完全な「輪」になった瞬間高温でリングも真っ赤に染まっています。

鎚目制作工程6

鎚目制作工程➅

ロウ付けが終わったリングの形を、工具や紙やすりを使って整えていきます。丁寧に整えながら、ゆがみや幅、厚みなどを確認します。全体的なフォルムが決まる大事な工程のひとつ。

鎚目制作工程7

鎚目制作工程➆

フォルムが整ったら、カドを落として丸みをつけていきます。

鎚目制作工程8

鎚目制作工程➇

長い年月の使用にも耐えられる丈夫なつくりになるように均等に厚みを保ったまま、全体的に自然な丸みをつけていきます。

鎚目制作工程9

鎚目制作工程➈

丸みがついたリングに、いよいよ鎚目(つちめ)模様を施します。鎚目(つちめ)とは、イモ鎚と呼ばれる先端に丸みがついた金槌の一種で貴金属の地金を叩き、自然な凹凸をつける技法のこと叩く力加減や工具によりその風合いは様々です。

鎚目制作工程10

鎚目制作工程➉

鎚目模様が全体に入ったら、指どおりを良くするために内側や側面をなめらかに磨き上げます。
鎚目部分の凹凸感を残しつつ、輝きをもたせるように仕上げてゆきます。

鎚目制作工程11

鎚目の結婚指輪が完成

ついに鎚目のご結婚指輪が完成です。
ルシェルのアトリエでは、こうして1本ずつ職人の手作りで日々指輪が生まれているのです。

木目金って何?

木目金(もくめがね)とは、2種類以上の違う貴金属を木目のようにきれいに混ぜ合わせて作りあげる伝統的な彫金技法です。作る工程は非常に難しく、貴金属の特性を熟知した職人にしか作ることのできない技術なのです。
明治時代以降、加工技術は一時途絶えていましたが、木目金の持つ奥深い魅力にひかれた人たちの情熱によって見事に復活しました。何よりも、「唯一無二でお二人だけのもの」という特別感を表現できることがたくさんの方を惹きつけています。

木目金リングサンプル
鎚目リングサンプル2

木目金のリングができるまで

木目金制作工程1

木目金制作工程➀

一枚ずつ同じサイズに切りそろえられたシルバーとピンクゴールドの板たち枚数や色数、重ねる順番で仕上がりの模様が変わってきます。

木目金制作工程2

木目金制作工程➁

今回は年輪のような、シンプルなストライプのように仕上げたいので一枚ずつ交互に重ね合わせてゆき、工具で固定します。

木目金制作工程3

木目金制作工程➂

バーナーで全体を高温に熱してゆき、熱し続けてゆくとだんだん全体が真っ赤に染まってゆきます。重ね合わせた板同士が溶け合う瞬間を見極めることが大切熱しすぎると全体が溶けて崩れてしまいます。

木目金制作工程4

木目金制作工程➃

冷ましたらこんな感じ金属ごとに溶ける温度が違うため、シンプルですがとても難しい工程です。ひとつになったかたまりを、これから延ばしてリングの材料となる薄い板に作り上げていくのです。

木目金制作工程5

木目金制作工程➄

焼きなまして金づちでたたいて延ばす作業を繰り返して徐々に厚みを落としていきます。

木目金制作工程6

木目金制作工程➅

だんだんと厚みが薄くなってきました。色の層がぎゅっと圧縮されているのがわかります。

木目金制作工程7

木目金制作工程➆

まだまだ厚みを落としてゆきます
ひたすら金属をたたく力仕事が続きます。この時点でねじりや彫りを加えることにより、より複雑な木目模様を作ることもできます

木目金制作工程8

木目金制作工程➇

ある程度の厚みになったら、ローラーと呼ばれる工具でより厚みを落とし、均一にしてゆきます。

木目金制作工程9

木目金制作工程➈

リングの材料となる木目金の地金と、組み合わせる内側のピンクゴールドのリング。ここからいよいよリングの輪のかたちになっていきます。

木目金制作工程10

木目金制作工程➉

木目金の板を丸くリングの形にし、きれいにかたちを整えます。

木目金制作工程11

木目金制作工程⑪

内側のピンクゴールドと外側となる木目金を組み上げるところ内側と外側のサイズがぴったり合うように正確に作るのが一番大切です。

木目金制作工程12

木目金制作工程⑫

右が組み上げ前、左は組み上げ後。今回のように内側の色を変えたり、木目金のままだけで作りあげることもできます。

木目金制作工程13

木目金制作工程⑬

リングが組みあがったら外側の丸みをつけてゆきます。丁寧に、丁寧に… 削り落してゆくごとに隠れていた木目があらわれてきます。

木目金制作工程14

木目金制作工程⑭

木目金の指輪は、仕上げ方により木目の見え方がかなり変わってきます。半ツヤやマットのように光沢を抑えて仕上げた場合、木目がはっきりと見えます。 一方、鏡面仕上げにした場合は光の反射で木目はさりげなく輝きます。仕上げの違いで表情の違いが楽しめるのも、木目金のおもしろいところ。

木目金制作工程15

木目金の結婚指輪が完成

今回のおふたりのリングは、鏡面仕上げで華やかな輝きを放つ木目金の結婚指輪に仕上がりました。